SmartCloud コラム

現場業務における画像認識AIの使用例

2022.10.05画像認識AI

NTTコムウェアの画像認識AI「Deeptector」は、さまざまな業界で活用されています。製造・建設業界が主なお客様ですが、通信・インフラ、漁業、自動車、化学、ヘルスケア、物流業界などでもご利用いただいています。業界を聞いても、どのように活用しているかのイメージがつかないという方もいらっしゃるかもしれません。今回は実際に当社のお客様に導入頂いた際の事例をご紹介いたします。

 

【Case1】人間による査定精度のばらつき、外的環境の影響を抑え、作業時間も短縮

  • 業種
    中古車自動車販売
  • 導入の背景
    目視での外装不良の見落とし、査定品質のばらつき、査定業務の時間短縮
  • 導入後の効果
    査定作業人員の削減、査定価格の透明性・妥当性の向上

中古車販売業A社は中古車買取時の査定業務に課題感を持っていました。査定は、年式・走行距離、車のキズ、へこみ、塗装の状態といった外装、内装、エンジン不良など機能面や事故修理歴・改造工作などの項目をチェックします。中古車査定士や経験を積んだスタッフが行いますが、人間の目でチェックするため細かなキズの見落とし等により、査定価格がばらついてしまうことも。また、査定には時間がかかるため、1日に受けられる査定数は限られていました。そこで査定精度の安定化と時間の短縮を目的に画像認識AIの導入を検討しました。

しかし、導入にはいくつものハードルがありました。車のボディ全体に加え、フロント、リア、ルーフなど細かに画像を学習させなければなりません。また、外的要因による影響も考慮が必要でした。例えば、雨の日に撮影をすると、車体についた雨粒をへこみと認識してしまうことが発生。そのため、判定パターンである物体検出型に加えて領域検出型も用いて誤認識をなくし、精度を向上させるようにしました。

そして、導入後の現場オペレーションは大きなハードルでした。せっかく画像認識AIの精度を高めても現場でのオペレーションがうまくいかないと、精度を再現できません。そのため、車種ごとに撮影角度を決め、同じ条件下で画像を撮影するなど、当社も協力してマニュアルを決めました。

 

【Case2】出荷品質低下と運搬機材の損傷を防ぎ、従業員の安全も守る

  • 業種
    鉱業
  • 導入の背景
    出荷品質の向上、運搬設備の不良発見、作業員の安全確保
  • 導入後の効果
    出荷品質の向上、設備不良の低下、作業員の安全確保

鉱山から鉱石を採掘し、ベルトコンベアで数十キロ離れた港まで運搬をしているB社の事例です。

画像認識AIで判定したい項目は3つありました。
 

  • 採掘した鉱石が適正なサイズか?
  • 採掘した鉱石以外の異物が混入していないか?
  • 運搬用のベルトコンベアの不具合(穴や損傷)の発見

出荷時のおおよその鉱石の大きさには決まりがありますが、許容範囲を超える大きさの鉱石は運搬前に排除しなければなりません。また、鉱山なので蛇が侵入したり、機材のボルトなど異物が混ざることもありました。
採掘後に鉱石を運搬するベルトコンベアは衝撃で穴が空いてしまうこともあり、ひとたび故障すると採掘した鉱石が運べなくなるためオペレーション全体に影響してしまいます。

これら業務・課題に対応しうる画像検査技術は他になかったため、従来はカメラを設置し、管理室のモニターにて作業員が監視していました。しかし、3つの項目すべてを目視で確認するのは困難であり、見逃しも発生していました。設備保全のため、定期的に作業員がベルトコンベアの点検をしていましたが、狭くて暗く、かつ足元の悪いトンネルにて行うため、危険が伴いました。

経済産業省の資料(※)によると、平成25~28年の4年間で、鉱山での人身事故は75件(うち死亡事故を含む重症以上の重大事故52件)発生しています。そのうち、最も多い罹災事由は「運搬装置」、その中でもベルトコンベアが最も罹災数の多い運搬装置となっています(全体の約17%、13件)。

当社では前例の無いお客様であったため、まずは業務フローを可視化すべく当社担当者が現場を訪問・見学して、どうすれば画像認識AIを用いて業務を改善できるか、事故を未然に防ぐことができるかお客様と一緒に検討を重ねました。
その結果、出荷品質の向上や設備不良の低下だけでなく、人身事故を引き起こす可能性のある運搬装置のキズを検知できるようになり、従業員の安全確保につながりました。


今回は2つの事例をご紹介しました。この2つは、導入後のオペレーションも含めて実装しています。画像認識AIはソフトを導入するだけでは業務に活かせません。業務内容や予算をヒアリングし、費用対効果を考慮してトライアルやPoCを行い、実装までワンストップで支援いたします。

 

※経済産業省 産業構造審議会 保安分科会(第7回)「最近の事故の状況について」(平成29年4月10日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/pdf/hoan_pdf/007_01_01.pdf

 

「Deeptector」はNTTコムウェア株式会社の登録商標です。

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