データセンターは時代の要求とともに、その提供形態、要素技術が変遷しています。ここでは、今注目されているトピックスを取り上げ、解説していきます。また、NTTコムウェアの継続的な改善についても紹介します。
モジュール型は、データセンターの構成要素を標準化、部品化することで伸縮性や効率性に優れており、トータルコストの低減にも繋がります。その代表例がコンテナ型です。貨物輸送用コンテナにデータセンター設備を一式パッケージングし、コンテナ単位で増設が可能です。
NTTコムウェアでは、既設ビルのデータセンターフロアの最小単位をモジュールとして整備し、拡張する方式を省電力・排熱式データセンターにて採用しています。
フロア型 |
フロア型 (コンテインメント) |
フロア モジュール型 |
コンテナ
モジュール型 |
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設計思想 | 個別設計 | フロア最適化 | モジュール | モジュール |
空調/気流設計 | フロア冷却(全体) | フロア冷却(部分) | フロア冷却/排熱(部分) | フロア冷却/排熱(部分) |
設置場所 | ビル | ビル | ビル | 屋外 |
工期 | 長い | 長い | 短い | 短い |
設置規模 | 数ラック~ | 数ラック~ | モジュール単位 | モジュール単位 |
従来、データセンターではICT機器が排出する熱を冷却装置(空調)で冷やし、循環しています。その消費電力量はデータセンターの総消費電力量の30~50%とも言われています。外気空調は冷却装置(空調)に頼らず、外気を取り込み排熱する仕組みです。そのため寒冷地など平均気温の低い場所に設置し、夏場は空調との並行運転する例が多く見られます。高温に対応するICT機器や、塵埃、温湿度気圧制御など、これまでとは異なるアプローチがとられています。
NTTコムウェアでは、排気ファンと加湿器等により温湿度を調整し、冷却装置をもたない、完全外気空調方式を省電力・排熱式データセンターにて採用しています。
排熱式データセンターの環境性能
日本環境効率フォーラム「ICTサービスの環境効率ガイドライン(※)」に従ってCO2削減効果を評価した結果、2013年度NTTグループの「環境にやさしいソリューション」に認定されました。
データセンターの環境性能の向上は、最新の省エネ技術による電力エネルギー消費量の削減、資源消費量の削減によってなされます。環境性能が高いデータセンターを活用することで、地球環境保護への貢献はもちろんのこと、上昇する電力コストの抑制につながります。
※情報通信技術(ICT)の環境効率評価ガイドライン、日本環境効率フォーラム(2006年3月)、ITU-T勧告L.1410(2012年3月)
多くのICT機器の内部は直流で動作しますが、データセンターの受電設備からICT機器に到達するまでに、何度も交流直流の変換(AC/DC変換)が行われ、電力効率を下げています。この変換回数を減らす手段として直流給電があります。
従来、受電設備(AC)からUPS(AC→DC→AC)に入り、電力分岐盤(PDF)を経てICT機器(AC→DC)へ到達していた電力は3回のAC/DC変換がありました。直流給電では、受電設備(AC)から整流装置(AC→DC)に入り、PDFを経てICT機器に到達するため、1回のAC/DC変換となります。直流給電には、対応製品のラインナップや価格、アーク放電などの安全性、設置スペースの課題がありますが、技術の進展によりそれらは解決され、消費電力量の削減、給電信頼度の向上などのメリットが注目されています。
NTTでは、電話交換機にDC-48Vの直流給電を採用してきました。NTTコムウェアは直流給電を積極的に推進しており、設置自由度が高いHVDCも採用しています。また、省電力・排熱式データセンターでは、ICT機器へのDC12V給電を採用しました。
200kWモデルの年間比較
※電力効率値はメーカースペックから算出した理論値です。