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IDC Japanコラム 【第1回】 AI活用の現状と今後:AIはもっと使える!

2022.03.29画像認識AI

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IT調査会社 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ/IT スペンディング グループディレクターである眞鍋 敬氏により、全4回を通して、 AI活用の現状と今後、AI の活用領域:産業分野とユースケース(使い方)、AI の実践的活用というトピックについて、提言していただきます。

連載第1回では、「AI活用の現状と今後:AIはもっと使える!」について、ご紹介いたします。

 

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IDC Japan

ソフトウェア&セキュリティ/IT スペンディング

グループディレクター

眞鍋 敬氏

 

新型コロナ感染症(COVID-19)の感染拡大の影響で、私たちの生活や社会環境は大きく変化しました。特に大きく変わったことは、非接触の機会が増加し、デジタルの活用が急速に進んだことです。このような変化は IT 市場への変化をもたらしています。最新技術を活用したデータ取得や音声、画像を活用したソリューションに注目が集まっています。この中でも、特に AI(人口知能)技術は、第 3 次 AI ブームが IT 市場で注目され始めて以来、実際のビジネス現場への活用が開始されており、徐々に活用範囲が拡大し始めています。

実際に IDC が 2021 年にユーザー企業に対して調査した結果では、AI の活用は情報収集から POC(実証実験)への移行が増加傾向にあり、事業への活用を検討している企業が急速に増加していると考えられます(Figure 1)。

future-of-ai-utilization-figure-1.pngFigure 1 ユーザー企業の AI システム利用状況

Source:IDC Japan, January 2022

 

このようなユーザー企業の動向と市場調査データから考えると、IDC では今後、AI のビジネス活用は特定の業務/用途でのデータ分析や予測から、一般産業での活用が広がるとみています。その際、AI の活用はビジネスを遂行している人には目に見えない/気が付かない形で浸透していく「パーベイシブ」になると予測しています(Figure 2)。IDC では AI の活用領域には大きく、分析系、認知系、制御/監視系、その他の特殊用途の 4 つの活用領域に分類できると考えています(Figure 2)。

future-of-ai-utilization-figure-2.pngFigure 2 AI システムの浸透

Source:IDC Japan, January 2022

 

Figure 2 に示すように、AI の利用は製薬、研究などの特定分野、ビジネス可視化や業績予測、シミュレーションなどでの分析用途での「AI を意識して利用する」分野での活用は既に始まっています。

今後、次第に商品検品、資産管理、予防保守のような画像認識、音声アシスタンスのような利用者が「AI を意識しない」認知系 AI 領域に活用が多くなると考えられます。さらに将来的にはロボット、ドローンの動作を自動制御するような制御系 AI の利用は社会に広がっていくと考えられます。このような利用方法では、アプリケーションや機器に AI が組み込まれることが想定されるため、利用者から見ると、AI を利用している意識は薄れていくと考えられます。

この中で、認知系の画像認識は、コンピューターが AI を利用して画像の特徴を抽出して違いを発見する、AI の得意分野です。実際には、第 3 次 AI ブームで広く知られた「深層学習(ディープラーニング)」が実用段階に入っていることが大きく寄与しており、効果的な事例も増加しています。

次回は AI システムの活用領域について、産業分野やユースケースについて利用動向を概観してみます。

 

tmanabe_IDC_round.png 著者:眞鍋 敬

グループディレクターとして、ソフトウェア/IT セキュリティ/OT セキュリティ市場と IT 支出に関する調査を統括。また、専門分野としてコミュニケーションをベースとしたソーシャルビジネス市場やユニファイドコミュニケーション(UC)/コラボレーション市場などの通信とソフトウェアの融合分野、CRM/デジタルマーケティング/デジタルコンテンツ市場などのフロントエンドアプリケーション市場、およびビッグデータ、AI システム/RPA/顧客エクスペリエンス市場などのデジタルトランスフォーメーションにも跨った調査を実施している。
IDC 入社以前は、国内大手製造ベンダーにて、通信/ソフトウェア/ソリューション分野で機器設計、システムエンジニアリング、コンサルティング、商品企画、マーケティング、事業企画/運営を20 年以上経験。

 

 

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